はなまるうどん店舗数減少の真実|丸亀製麺との決定的な「戦略の差」を専門家が解説

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執筆:真鍋 拓也(まなべ たくや)

フードライター / うどんチェーン研究家。10年以上にわたり、はなまるうどんをはじめとする主要チェーンを年間300食以上実食。ビジネスマンの「戦略的ランチ術」を提唱しています。

「いつも家族で利用していたショッピングモールの『はなまるうどん』が、気づけば閉店していた……」

そんな経験をして、驚きや寂しさを感じている方は少なくないはずです。一方で、すぐ近くの丸亀製麺には長い行列ができているのを見ると、ビジネスパーソンとして「はなまるは大丈夫か?」「このまま衰退してしまうのか?」という疑問が湧いてくるのも無理はありません。

結論から申し上げましょう。現在進行しているはなまるうどんの店舗数減少は、単なる「敗北」ではなく、親会社である吉野家ホールディングスが主導する「収益性向上のための外科手術」です。

10年以上、うどんチェーンの現場を歩き、全メニューを実食調査してきた専門家の視点から、数字の裏に隠された「再建戦略の正体」を論理的に解き明かしていきます。


なぜ「はなまるうどん」は消えたのか?店舗数減少の裏にある吉野家HDの決断

あなたがショッピングモールで目撃した閉店は、決して偶然ではありません。はなまるうどんは、2020年の約515店舗をピークに、2024年2月期末時点で432店舗まで、4年間で約80店舗(16%)もの削減を行いました。

この吉野家ホールディングスとはなまるうどんの関係性において、親会社が主導した「不採算店舗の整理」こそが、店舗数減少の直接的な原因です。

かつてのはなまるは、集客力を求めてショッピングモールや都市部のビルイン(ビルの中)へ積極的に出店してきました。しかし、コロナ禍を経て「高い賃料」と「不安定な客数」という、ショッピングモールやビルイン店舗特有の立地の脆弱性が露呈したのです。

吉野家ホールディングス(親会社)による戦略的撤退の結果、はなまるうどんの店舗数と営業利益率が「逆相関」から「収益性向上」へと転換した論理構造を示す図解。

✍️ 真鍋のワンポイントアドバイス
【結論】: 店舗が減ったことを「ブランドの寿命」と捉えるのは早計です。
なぜなら、吉野家HDは「不採算店舗を閉めることで、残った店舗の利益率を劇的に改善させる」という、筋肉質な経営への転換を優先したからです。実際に、店舗整理が進んだことで、事業全体の赤字体質からの脱却はほぼ完了しています。


丸亀製麺とは正反対?データで見る「はなまる」独自の生き残り戦略

よく比較されるはなまるうどんと丸亀製麺は、同じ讃岐うどんチェーンでありながら、そのビジネスモデルは驚くほど対照的です。

丸亀製麺が「全店での店内製麺」による体験価値と高単価を追求するのに対し、はなまるうどんは「セントラルキッチン(工場)での一括調理」による徹底した効率化と日常的な低価格を追求しています。

この戦略の違いが、現在の店舗網の差となって現れています。

はなまるうどん vs 丸亀製麺 戦略比較表

※スマホでご覧の方は横にスクロールして確認できます。

比較項目 はなまるうどん 丸亀製麺
調理方式 セントラルキッチン(安定・効率) 全店・店内製麺(体験・鮮度)
主要立地 モールからロードサイド ロードサイド中心
ターゲット 日常食のビジネスマン・家族 外食体験を求める幅広い層
強みの源泉 吉野家譲りの「高効率運営」 圧倒的な「手作り感」

はなまるうどんは、吉野家ホールディングスが培ってきた高効率なオペレーションノウハウを、はなまるの厨房設計に直接注入しています。丸亀製麺が「ハレの日(特別な日)」のうどんを目指すなら、はなまるは「ケの日(日常)」のインフラを目指しているのです。


閉店は「敗北」ではない。私たちがこれから目撃する「新生はなまる」の姿

店舗数が減った一方で、残った店舗や新しくできる店舗では、劇的な進化が起きています。これが、私が「新生はなまる」と呼ぶモデルです。

現在、はなまるは「ショッピングモール」から「ロードサイド(幹線道路沿い)」へと、主戦場となる立地を転換させています。 ロードサイド店舗は、モール店に比べて賃料が安定しており、かつ吉野家との共同出店などで運営コストを抑えられるメリットがあります。

さらに、厨房DX(デジタルトランスフォーメーション)の導入も進んでいます。

  • 厨房動線の刷新: 少ない人数でも、ピーク時に注文をさばける設計。
  • モバイルオーダーの拡充: 待ち時間を減らし、ビジネスマンの利便性を向上。

これらはすべて、単なる「店舗数」という表面的な数字ではなく、「1店舗あたりの満足度と収益性」という本質的な価値を高めるための施策です。

ショッピングモールからロードサイドへの「立地転換」、厨房DXによる「効率化」、吉野家ホールディングスの「運営ノウハウ(DNA)」の注入という、はなまるうどん再建を支える3つの要素の関係性を示す図解。


【FAQ】「近所の店がなくなったのはなぜ?」よくある疑問に答えます

Q: 私の近所の店舗がなくなったのは、はなまるが潰れそうだからですか?
A: いいえ、そうではありません。その店舗が「現在の戦略(収益性や立地条件)」に合致しなくなったため、ブランド全体を守るために閉鎖された可能性が高いです。会社全体としては、むしろ利益が出る体質に生まれ変わっています。

Q: 店舗が減って、味やサービスが悪くなることはありませんか?
A: むしろ逆です。不採算店を整理したことで、残った店舗への投資(設備刷新やスタッフ教育)が可能になります。最近では、麺の改良や天ぷらのクオリティ向上など、実食調査でも進化を感じる場面が増えています。


まとめ:はなまるうどんは「賢い選択」をするビジネスマンの味方であり続ける

はなまるうどんの店舗数が減っているという事実は、一見するとネガティブに映るかもしれません。しかし、その実態は「持続可能な成長のために、古いモデルを脱ぎ捨て、より強く進化しようとする企業の決断」です。

次にロードサイドや駅前で「はなまるうどん」の看板を見かけた時は、ぜひ店内に足を踏み入れてみてください。そこには、最新の厨房DXで提供スピードが向上した、新しい体験が待っているはずです。

参考文献リスト

情報の透明性を確保するため、本記事の執筆にあたり参照した主要資料を以下に記します。

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