『ピーキー・ブラインダーズ』の聖地とアートな街バーミンガムを撮り歩く

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K. Harrison (ケイト・ハリソン)

英国在住歴12年のトラベルフォトグラファー / 元Webディレクター

「ロンドンのキラキラもいいけど、本当の英国のカッコよさは『錆びとレンガ』にある」が信条。

Netflixで『ピーキー・ブラインダーズ』を観て、トミー・シェルビーが歩くあの煤けたレンガの街並みに心を奪われたことはありませんか?

「次のロンドン旅行では、絶対にバーミンガムに行きたい!」

そう思ってGoogleマップを開いたものの、「治安が悪い」「工業都市で何もない」という噂を目にして、やっぱりやめようかと足踏みしていませんか?

その気持ち、痛いほどわかります。私も12年前に移住してきた当初は、ロンドンの洗練された街並みとのギャップに戸惑いました。でも、カメラを持って街を歩くうちに気づいたんです。この街の「無骨さ」こそが、クリエイターの感性を刺激する最高の被写体なのだと。

この記事では、英国在住フォトグラファーの私が、「危険なエリアを避けつつ、最高にエモい写真を撮るための日帰りルート」を完全ガイドします。バーミンガムは決して「怖い街」ではありません。「ルールを知れば最高にクールな街」なんです。

さあ、ロンドン・ユーストン駅から1時間半の冒険へ出かけましょう。

なぜ今、クリエイターは「ロンドンよりバーミンガム」なのか?

正直に言います。もしあなたが「バッキンガム宮殿のような優雅さ」や「ノッティングヒルのような可愛らしさ」を求めているなら、バーミンガムはおすすめしません。

でも、あなたが求めているのが「未完成のエネルギー」「歴史と現代アートの衝突」なら、この街はロンドン以上に刺激的です。

「完成された美」vs「無骨な美」

ロンドンは世界最高峰の都市であり、その美しさは「完成」されています。どこを切り取っても絵になりますが、それは誰かが整えた美しさです。

一方で、バーミンガムとロンドンは、都市としての性格が全く異なります。 かつて「世界の工場」と呼ばれたバーミンガムには、産業革命時代の赤レンガ倉庫や運河がそのまま残っています。そこに今、若手のアーティストたちが集まり、ストリートアートやリノベーションカフェという新しい色を塗り重ねているのです。

ドラマ『ピーキー・ブラインダーズ』の主人公たちが生きた1920年代の煤煙の記憶と、2020年代のクリエイティブな熱量。この二つが混ざり合う独特の空気感は、ここでしか味わえません。

【完全攻略】ロンドン発日帰り:聖地巡礼&アート巡りのゴールデンルート

「行きたい場所はあるけど、どう回ればいいかわからない」。そんなあなたのために、私が友人を案内するときに使う「鉄板ルート」を公開します。

午前中はドラマの世界にどっぷり浸かり、午後は最先端のアート地区へ。無駄なく、かつ安全に回るためのタイムスケジュールです。


ロンドンからバーミンガムへの日帰り観光モデルコースのタイムライン図。ロンドン・ユーストン駅を出発し、Tipton駅からバスまたはUberを利用してドラマ『ピーキー・ブラインダーズ』の聖地Black Country Living Museumへ移動、午後はDigbethのアート地区を散策する行程を示している。Tipton駅からの徒歩回避(ラストワンマイルの推奨移動手段)を強調。

時間 行程 ポイント
09:00 ロンドン・ユーストン駅発 Avanti West Coast利用
10:30 バーミンガム・ニューストリート駅着 そのままWest Midlands Railwayに乗り換え
11:00 Tipton駅着 ⚠️ バスまたはUberで移動
11:30 Black Country Living Museum 聖地巡礼・ランチ
14:30 Digbethエリア散策 アート地区・カフェ
19:00 ロンドンへ帰路

11:30 聖地巡礼:Black Country Living Museum

まず目指すのは、ドラマのロケ地として有名な野外博物館、Black Country Living Museumです。ここは単なる博物館ではなく、ドラマ『ピーキー・ブラインダーズ』の世界観を体験できる唯一無二の場所(聖地)です。

運河沿いに並ぶ鍛冶屋、石炭の匂い、フィッシュ&チップスの店。トミー・シェルビーが歩いていたあの景色の中に、実際に立つことができます。

⚠️ ここで注意!「ラストワンマイル」の罠

多くのガイドブックには「最寄りのTipton駅から徒歩」と書いてありますが、私はおすすめしません。

✍️ 専門家の経験からの一言アドバイス

【結論】: Tipton駅からミュージアムへは、迷わず「バス」か「Uber」を使ってください。

なぜなら、駅からミュージアムまでの徒歩ルート(約20分)は、殺風景な工場地帯を通るため、女性一人だと心細く感じるからです。せっかくの旅行で不安な気持ちにならないよう、ここは数百円を使って安全と時間を買ってください。駅を出てすぐのバスロータリーから229番などのバスが出ていますし、Uberもすぐに捕まります。

14:30 アート地区:Digbeth (ディグベス)

午後は市内に戻り、バーミンガムの「今」を感じるエリア、Digbethへ。
かつてのカスタード工場をリノベーションした複合施設「Custard Factory」を中心に、街中がグラフィティアートで埋め尽くされています。ここはまさに、ロンドンのショーディッチをさらにアンダーグラウンドにしたような場所です。

「ここは昼に行け」女性一人旅のためのエリア別・時間帯別セーフティマップ

さて、一番気になる「治安」の話をしましょう。
「バーミンガムは危険」という噂は、半分本当で半分嘘です。正確には、「エリアと時間帯によって表情がガラリと変わる」のです。

ここでは、女性フォトグラファーとして現地を歩き回って作った、リアルな安全対策マップをお伝えします。

バーミンガム市内の治安マップ。中心部のCity CentreとJewellery Quarterは緑色(安全)、南東部のDigbethエリアは黄色(昼は推奨・夜は要注意)、それ以外の観光エリア外は赤色(立ち入り非推奨)で色分けされている。Digbethエリアと安全性の関係(条件付き安全)を視覚化し、夜間のUber利用を推奨している。

1. Digbeth (ディグベス) の鉄則:昼に行け

先ほど紹介したDigbethは、昼間はアート好きや若者で賑わう最高にクールな街ですが、夜になると人通りが急に減ります。
街灯が少ない路地も多いため、「Digbeth散策は日没まで」と決めておくのが賢明です。もし夜にイベントなどで訪れる場合は、駅まで歩かずに必ずUberを呼んでください。ドア・ツー・ドアなら全く問題ありません。

2. City Centre & Jewellery Quarter:基本は安全

ショッピングモール「ブルリング」がある中心部や、後述する「ジュエリー・クォーター」は、ロンドン中心部と同じ感覚で歩けます。もちろん、カフェで席を立つ際に荷物を置いたままにしないなど、基本的なスリ対策は必須ですが、過度に怯える必要はありません。

✍️ 専門家の経験からの一言アドバイス

【結論】: 「観光客が行く必要のない場所」には行かないこと。

犯罪発生率が高いと言われるのは、観光エリアから離れた特定の居住地区がほとんどです。今回紹介しているルート(City Centre, Digbethのメインエリア, Jewellery Quarter)を守っている限り、危険な目に遭う確率はグッと下がります。

シャッターが止まらない。バーミンガムで絶対に行くべき「映え」スポット3選

安全対策バッチリですね? では最後に、あなたのカメラロールを埋め尽くす、とっておきのフォトスポットを紹介します。

1. Library of Birmingham の「秘密の庭」

欧州最大級の図書館であるこの建物は、外観のモダンなデザインも素敵ですが、真骨頂は上層階にあります。
多くの人は3階のテラスに行きますが、私のおすすめは7階の「Secret Garden」です。人が少なく、バーミンガムの街並みを静かに見下ろせる穴場スポット。花壇の手入れも行き届いていて、空中のオアシスのような写真が撮れます。

2. Digbethのストリートアート

Digbethエリアの壁画は、常に更新され続けています。
特に「Custard Factory」周辺の壁画は圧巻。巨大な鳥の絵や、社会風刺の効いたグラフィティなど、歩くたびに新しい発見があります。広角レンズで街の雰囲気ごと切り取るもよし、単焦点レンズでアートの一部を切り取るもよし。背景としてポートレートを撮るのにも最適です。

3. Jewellery Quarter のレンガ造りカフェ

Jewellery Quarter(ジュエリー・クォーター)とDigbethは対照的な魅力を持っています。
Digbethが「混沌とアート」なら、Jewellery Quarterは「静寂とクラフトマンシップ」。歴史的な宝石工房が並ぶこのエリアは、石畳とレンガ造りの建物が美しく保存されています。
おすすめは「Saint Kitchen」。美味しいベーグルとコーヒーを楽しみながら、窓越しに見えるレンガの街並みを撮る時間は、至福のひとときです。

まとめ:その「灰色」は、あなたの感性を刺激するキャンバスになる

「バーミンガムは危ないらしい」。そんな噂だけで、この街を旅の選択肢から外してしまうのはあまりにも勿体ない。

確かに、ロンドンのような華やかさはないかもしれません。でも、ここには産業革命から続く歴史の重みと、それを塗り替えようとする現代のエネルギーが渦巻いています。その「灰色」の景色は、クリエイターであるあなたの感性を刺激する、最高のキャンバスになるはずです。

必要なのは、カメラと、少しの勇気、そして「夜のDigbethはUberで」という知識だけ。

次の休日は、ロンドン・ユーストン駅からAvanti West Coastに乗って、1時間半の冒険に出かけてみませんか?
ドラマの中でトミー・シェルビーが見上げていたあの空が、あなたを待っています。


参考文献

この記事は、以下の信頼できる情報源と、筆者の現地での実体験に基づいて執筆されています。

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