
「佐藤さん、うちの商品、もっとリツイートされるように頑張ってね」
上司の方から急にそう言われて、内心ドキッとしていませんか?
「実はプライベートでも見る専門で、自分でリツイートしたことがない……」
「もし操作を間違えて、会社のアカウントで炎上したり失礼なことをしてしまったらどうしよう……」
そんな不安を抱えて検索窓を叩いたあなた、安心してください。その「失敗したくない」という慎重さこそが、企業のSNS担当者として最も大切な資質です。
現在、X(旧Twitter)では「リツイート」という名称は「リポスト」へと変わりました。しかし、その本質は変わりません。この記事では、SNSリスクマネジメントの専門家である私が、最新の仕様に基づいた「絶対に失敗しないリポストの作法」を、どこよりも分かりやすくお伝えします。
公式のリポスト機能は、実はあなたと会社をトラブルから守る「最強の盾」なのです。その理由を、一緒に紐解いていきましょう。
瀬戸 健一(せと けんいち)
SNSリスクマネジメント・コンサルタント。元・大手メーカーSNS運用責任者。累計100社以上の企業SNSガイドライン策定を支援。「慎重すぎるくらいが丁度いい」をモットーに、新米担当者が自信を持って運用できるノウハウを発信している。
リツイートは「リポスト」へ。今さら聞けない基本の仕組み
「リツイート(RT)」という言葉は、2023年のブランド刷新に伴い、現在は正式に「リポスト」という名称に統合されました。
つまり、あなたが探している「リツイート」は、今のXでは「リポスト」というボタンを探せば良いということです。
リポストの仕組みを一言で言えば、「他人の投稿を、自分のフォロワーのタイムラインにそのまま紹介する機能」です。あなたがリポストボタンを押すと、元の投稿があなたのフォロワー全員の画面に流れます。これにより、情報の「二次拡散」が起きるのです。

どっちを使う?「通常リポスト」と「引用」の決定的な違い
リポストには、大きく分けて2つの種類があります。「通常のリポスト」と「引用(旧・引用リツイート)」です。
企業アカウントを運用する上で、この2つの使い分けは非常に重要です。スマホでも見やすいように、ポイントを絞って比較表にまとめました。
【比較表】通常リポスト vs 引用
| 比較項目 | 通常リポスト | 引用(引用リポスト) |
|---|---|---|
| 見た目 | 元の投稿がそのまま表示 | 自分のコメント+元の投稿 |
| 主な目的 | 純粋な情報の拡散、応援 | 意見の追加、補足、対話 |
| おすすめシーン | 自社への好意的な投稿に | ユーザーの質問に答える時 |
| 操作の印象 | 「無言の紹介」 | 「一言添えた紹介」 |
💡 スマホでご覧の方へ: 表がはみ出す場合は、横にスワイプしてご確認ください。
通常リポストは拡散力が高い一方で、フォロワーとの親密度を高めたい時は、あなたの言葉を添えられる「引用」が効果的です。
【重要】会社を守るための「法的ルール」と「SNSマナー」
佐藤さんが最も不安に感じている「失敗」や「炎上」。これを防ぐために、絶対に覚えておいてほしいことがあります。それは、「公式のリポスト機能を使うことこそが、最大の安全策である」という事実です。
ネット上では、他人の投稿をスクリーンショット(スクショ)して投稿する人をよく見かけますが、これは「無断転載」という著作権侵害になるリスクが非常に高い行為です。
対して、公式のリポスト機能は、Xの利用規約に基づいた正当な引用方法です。最高裁の判決(2020年)でも、「公式のリツイート機能を使って画像が表示されるのはシステムの仕組みであり、リツイートした人が勝手に画像を改変したことにはならない」という判断が示されています。
スクショ投稿 vs 公式リポストの安全性
| 比較項目 | スクリーンショット(非推奨) | 公式リポスト機能(推奨) |
|---|---|---|
| 著作権リスク | 高い(無断転載) | 低い(規約で許諾済み) |
| 投稿者への通知 | 行かない(無断感が出る) | 行く(公式な紹介) |
| 情報の正確性 | 元が消えても残ってしまう | 元が消えれば自動で消える |
他人の投稿を紹介したい時は、絶対に「スクショ」ではなく「公式リポスト」を使ってください。公式機能を使えば、万が一元の投稿が削除された場合、あなたのリポストも自動的に消える仕組みになっています。この「連動性」こそが、法的なトラブルからあなたと会社を守る盾になるのです。
また、「非公開アカウント(鍵垢)」の投稿は、システム的にリポストできないようになっています。これを無理にスクショして広めるのは重大なマナー違反です。「リポストできない投稿は、追わない」。これがプロの鉄則です。
新米担当者が迷いがちな「5つの疑問」FAQ
- 自分の会社の投稿を自分でリポストしてもいい?
はい、もちろんです。「セルフリポスト」と呼ばれ、過去の重要な告知を再度タイムラインの上位に持ってくるために有効なテクニックです。 - 間違えてリポストしてしまった!消せる?
はい、消せます。緑色に光っているリポストボタンをもう一度押し、「リポストを取り消す」を選べば解除されます。 - リポストしたら相手にバレる?
はい、相手の「通知」欄にあなたの名前が表示されます。企業アカウントからリポストされると喜ぶユーザーも多いので、ポジティブな内容なら積極的に行いましょう。 - 1日に何回もリポストして大丈夫?
リポストばかりが多いと、フォロワーから「宣伝ばかり」と思われる可能性があります。自社投稿とのバランス(1:1程度)を意識しましょう。 - リポストする前に相手に許可は必要?
公式機能を使う限り、原則として許可は不要です。リポスト機能自体が「拡散を許可する」前提の機能だからです。
まとめ: 「敬意」を持って、最初の一歩を踏み出そう
リツイート(リポスト)は、決して怖いものではありません。それは、素敵な投稿を見つけた時に「これ、いいですよ!」と周囲に教える、ポジティブなコミュニケーションの手段です。
佐藤さんが抱いている「失敗したくない」という気持ちは、元の投稿者や自社のブランドを大切にしたいという「敬意」の表れです。その気持ちがあれば、大きな間違いをすることはありません。
まずは、自社の過去の投稿を自分でリポスト(セルフリポスト)することから始めてみませんか? 自分の投稿なら、何度練習しても大丈夫です。
公式ルールという盾を持ち、敬意というコンパスを持って、SNS運用の第一歩を自信を持って踏み出してください。応援しています!
[参考文献リスト]
- Xでのリポスト方法 – Xヘルプセンター
- Twitterの「リツイート」は著作権侵害になる? 最高裁判決を読み解く – ITmedia NEWS
- リツイートで著作権侵害? 最高裁が示した判断のポイント – 弁護士ドットコム

