「各位」の正しい使い方を解説|「様」が不要な理由とコピペOKなシーン別テンプレート

言葉の使い方

「各位」は目上に失礼?公的ルールに基づく正しい使い方と宛名テンプレート

一斉送信メールを作成しているとき、宛名欄に「各位」と入力して、ふと手が止まってしまうことはありませんか?

「目上の人や取引先の社長に対して、『各位』だけで呼び捨てにするようで失礼ではないか?」
「『各位様』と書いた方が丁寧なのではないか?」

そんな不安を感じる気持ち、痛いほどよく分かります。私も新人の頃は、送信ボタンを押す直前まで「本当にこれで怒られないだろうか」と冷や汗をかいていました。

しかし、結論から申し上げます。「各位」はそれ自体が高い敬意を含んだ言葉であり、目上の人に単独で使っても全く失礼ではありません。

この記事では、ビジネス文書検定1級を持つ私が、国の公的指針である「公用文作成の要領」を根拠にした正しいルールと、スマホから1秒でコピペできる「相手別・シーン別 宛名テンプレート」をご紹介します。

これを読めば、もう二度と宛名書きで迷うことなく、自信を持ってスマートにメールを送信できるようになりますよ。


なぜ「各位」だけで目上の人に使っても失礼ではないのか?

まず、あなたが抱えている「失礼ではないか?」という最大の不安を解消しましょう。ここでは、言葉の成り立ちと公的なルールの両面から、「各位」が正しい敬語である理由を解説します。

「各位」という言葉自体が「皆様」という敬語です

「各位」という言葉を分解すると、「各」と「位」になります。「各」は「おのおの」、「位」は「様(敬称)」を意味します。つまり、「各位」という言葉自体が「皆様」や「皆様方」という意味を持っており、すでに敬称が含まれているのです。

したがって、「各位」と書くだけで、相手一人ひとりに対して「〇〇様」と呼びかけているのと同等の敬意を表すことになります。

「各位」という漢字を「各(おのおの)」と「位(様)」に分解し、敬意が含まれていることを解説した図解

国のルール「公用文作成の要領」が最強の根拠です

それでも「上司になんて言われるか不安だ」という方のために、誰にも反論できない強力な根拠をお渡しします。それは、国が定めた公文書の作成ルールです。

昭和27年の内閣依命通知「公用文作成の要領」(現在は「公用文作成の考え方」へ移行)に基づき、多くの自治体や公的機関では以下のような規定を設けています。

宛先を「各位」とする場合には、「様」等は付けず「各位」のままとする。

出典: 公文書作成の手引 – 佐伯市総務部総務課, 2015年4月

このように、公用文作成の要領という公的なルールにおいて、「各位」には「様」を付けないことが正解とされています。

もし誰かに「各位だけなんて失礼だ」と指摘されたとしても、「国の公用文の規定でも、各位には様を付けないのが正式なルールです」と自信を持って答えてください。「各位」と「公用文作成の要領」は、あなたの正しさを証明する「根拠」という強い関係で結ばれています。

 

✍️ 専門家の経験からの一言アドバイス

【結論】: 上司への説明が不安なら、「各位」の前に役職名を並べるテクニックを使いましょう。

なぜなら、この点は多くの人が見落としがちですが、マナーは「正しさ」だけでなく「相手の感情」も大切だからです。私は新人の頃、どうしても不安な時は「〇〇部長、〇〇課長、社員各位」のように、特定の目上の人だけ名前を出して、残りを各位で括る方法を使っていました。これなら角が立たず、かつ文法的にも間違いではありません。この知見が、あなたの成功の助けになれば幸いです。


【コピペOK】シーン別・相手別「各位」の正しい使い分けテンプレート

理屈は分かっても、いざメールを書くとなると手が止まってしまうものです。そこで、今すぐそのまま使える宛名のテンプレートを用意しました。あなたの状況に合わせて、コピー&ペーストして使ってください。

1. 社外・取引先への一斉送信

取引先や協力会社など、社外の複数人に送る場合のテンプレートです。

基本形
取引先各位

より丁寧な表現(関係者全般)
関係者各位

プロジェクト単位
〇〇プロジェクトご担当者各位

2. 社内への一斉送信

社内のお知らせや連絡事項を送る場合のテンプレートです。

全社員向け
社員各位

特定の部署向け
営業部各位

特定の役職者向け
管理職各位

3. 特定の上司+その他大勢(併用パターン)

直属の上司や特定のキーマンには個別に敬意を示しつつ、他のメンバーにも送りたい場合のテンプレートです。

上司を立てる場合
佐藤部長、鈴木課長、営業部各位

社外の特定の人を含む場合
株式会社〇〇 田中様、プロジェクト関係者各位


実は間違い?「お客様各位」と「各位様」の決定的な違い

ここで、多くの人が混乱する「二重敬語」の問題について、明確な線引きをしておきましょう。「お客様各位」と「各位様」は、似ているようでその扱いには天と地ほどの差があります。

「各位様」「各位殿」は完全なNGです

まず、「各位様」や「各位殿」は絶対に使ってはいけません。

先ほど解説した通り、「各位」にはすでに「様」という意味が含まれています。これに「様」を付けると、「様様(さまさま)」と言っていることになり、「各位様」と「NG表現」は、明確な誤用という関係になります。

これは「馬から落馬する」と言うようなもので、相手に「教養がない」「マナーを知らない」という印象を与えてしまう危険性が高い表現です。

「お客様各位」は例外的にOKです

一方で、お店の張り紙やメールマガジンでよく見る「お客様各位」。
厳密に文法だけで判断すれば、これも「お客(様)+各位(様)」となるため、「お客様各位」と「二重敬語」は、文法的には重複しているという関係にあります。

しかし、ビジネスの現場では「お客様各位」は例外的に許容される表現として定着しています。

なぜなら、「客各位」と書くとあまりに素っ気なく、敬意が足りないと感じる人が多いためです。言葉は生き物であり、多くの人が違和感なく使っている表現は、マナー違反とは見なされません。

 

📊 比較表
表タイトル: 「各位様」と「お客様各位」の許容度比較

表現 許容度 理由・解説
各位様 / 各位殿 × 完全NG 「様様」という意味になり、明確な文法ミス。知性や教養を疑われるリスクがあるため、絶対に使用しない。
お客様各位 〇 例外OK 文法的には二重敬語だが、ビジネス慣習として定着している。「客各位」では冷たい印象を与えるため、使用しても問題ない。
関係各位 ◎ 推奨 「関係者各位」と同義で、非常にスマートな表現。迷ったらこれを使うのが無難。

よくある質問(FAQ)

最後に、宛名書きで迷いやすい細かい疑問にお答えします。

Q. 宛名はメールのどこに書くのが正解ですか?

A. 本文の冒頭、左寄せで書いてください。
メールを開いて最初に目に入る場所です。宛名の下には1行空けて、「お疲れ様です。」などの挨拶文を続けると読みやすくなります。

Q. 「〇〇部御中 各位」のように、「御中」と一緒に使えますか?

A. いいえ、「御中」と「各位」は一緒に使えません。
「御中」は組織宛て(〇〇部御中)、「各位」は人宛て(皆様)に使う言葉です。
組織の中の人たちに送りたい場合は、「御中」を使わず「〇〇部各位」とするのが正解です。


まとめ:公的ルールを味方に、自信を持って送信しよう

「各位」という言葉は、それだけで十分な敬意を含んでおり、目上の人に使っても全く失礼ではありません。その根拠は、国の「公用文作成の要領」によって保証されています。

  • 「各位」は「皆様」という意味の正しい敬語
  • 「各位様」はNGだが、「お客様各位」はOK
  • 不安なときは「〇〇部長、社員各位」の併用テクニックを使う

今回ご紹介したテンプレートを活用すれば、もう宛名書きで悩む時間はゼロになります。
さあ、自信を持って送信ボタンを押し、次の重要な仕事に取り掛かりましょう!


参考文献

 

[著者プロフィール]
鈴木 雅人 (Masato Suzuki)
ビジネス文書検定1級保持者 / 元大手商社 人事部採用担当
延べ3,000人以上の新入社員研修を担当。「マナーは相手への思いやりだが、過剰な敬語は逆効果」をモットーに、現場で本当に使える実践的なビジネスマナーを発信している。新人の頃、過剰な敬語を使って上司に赤ペンを入れられた苦い経験を持つ。

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